2010年9月24日金曜日

-2°C

 先日、9/21(月)、高円寺ペンギンハウスにて、知人?、友人?の西山正規のライヴを観ました。パーカッションのかたとの二人編成で、タイトでソリッドな演奏を聴かせてくれました。
(『タイトでソリッドな』w なんだか、ヘタな音楽評論家みたいな表現ですね)

 無駄のない演奏、ほどよい緊迫感がある、というような意味なんですけど。

 そんな演奏と、笑っちゃうような MC とのギャップが緩急をつけてくれて。

 ほとばしる汗と唾液に(?!)まみれながら、あっという間にライヴは終わりました。

 空気があたたかくほぐれたところで、続く対バンのかたがたの演奏もとても楽しく、和やかな雰囲気で、踊り出す人も続出でした。はい、もちろん、わたくしも踊ってしまいました。

 ロックで踊れるってサイコー! シアワセー!! と心から感じる瞬間でございました。

 ライヴに出演されていた皆さん、そして、踊りに興じていた皆さんに共通して感じるのは、ほんとうに、音楽が、ロックが、大好きなんだなということです。

 音楽を愛する。――音楽が嫌いな人なんていない? そうかもしれません。けれど、それを表現できる人というのは、もしかすると、限られているのかもしれません。


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 ロックを愛する表現者、といえば。約二年半前、忌野清志郎さんのライヴを観ました。癌で他界される前の復活ライヴです。ここでそのライヴについて語ると長くなるので。。あえて語りませんが。。

 「バンドに帰って来られて、なによりもうれしい!」

 そう語る姿に心を打たれました。涙が、止まりませんでした。

 (いまにして思えば)いのちを削るようなパフォーマンスだったのかもしれません。それでも音楽を、ロックを、彼を愛するファンの為に、そしてじぶんの為にステージに立つ。

 そんなライヴを体験できたというのは、きっと音楽が巡り合わせてくれたのかな。。なんて思ったりします。ロックが好きで本当に良かった、と思った次第です。


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 さて。いのちを削る、といえば。

 ニホンミツバチの天敵撃退法の話を知っていますか?

 ニホンミツバチは、天敵であるスズメバチが襲ってくると、まず集団でスズメバチを取り囲むそうです。取り囲まれたスズメバチの周囲の温度はやがて46°C以上にまで達するとか。スズメバチの致死温度は約48°C。ニホンミツバチの致死温度は約50°C。このわずかな温度差を利用して、天敵を熱殺してしまうのです。

 ギリギリの、いのちを削る攻撃。わずか 2°Cにかける闘い。


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 わたくし、さいきん、みずから楽器を奏でて演奏するようになりましたが。限界点 -2°C、とまではいかなくても(ちょいとオーバーですねw)、アツーい演奏ができるようになるといいなあ、と思う。秋の夜長でございました。

2010年9月17日金曜日

[revue] Barking for Synchronicities All Around the World

 世の中にはいろんな音楽が溢れていますが。。幸運なことにわたくしが手にすることができた音楽の一部をご紹介してみることにします。

  ■Red Hot Chili Peppers / Around The World(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ / アラウンド・ザ・ワールド)
  ■Underworld / Barking(アンダーワールド / バーキング)
  ■Sting / Symphonicities(スティング / シンフォニシティーズ)


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■Red Hot Chili Peppers / Around The World(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ / アラウンド・ザ・ワールド)

 9月4日(土)に公開された映画『BECK』のオープニング・テーマ「Around The World」を含む編集盤です。映画公開記念ということですかね。

 曲目は以下です。

  1. アラウンド・ザ・ワールド
  2. パラレル・ユニヴァース(アルバム未収録ヴァージョン)
  3. テアトロ・ジャム(アルバム未収録曲)
  4. ミー・アンド・マイ・フレンズ(ライヴ・ヴァージョン)


 「Around The World」は、1999年発表のアルバム『Californication(カリフォルニケイション、カリフォルニケーション)』のトップを飾る楽曲。イントロのベースの不穏な響きから一転して畳みかけるようなギターが鳴り渡り、ボーカリスト、アンソニー・キーディスの雄叫びで幕が開け、ノリノリの“レッチリ”ワールドが炸裂いたします。。

 歌詞は、お下劣というかお馬鹿というか。。語呂合わせ、言葉遊びを楽しみながら、世界中を旅している気分にさせてくれます。

 ラップ調のAメロ(っていうんですかね?)とは打って変わり、サビのメロディは美しく。ロベルト・ベニーニ主演の映画『ライフ・イズ・ビューティフル』にインスピレイションを得たとのことで、

  I know, I know for sure
  That life is beautiful around the world

 と、人生の美しさを語ります。

 2曲目以降は、マニア向けといいますか、コレクターズアイテムといいますか。。もし、映画を観て RHCP を知った初心者のかたでしたら、アルバムか、映画のサウンドトラック盤を購入することをおすすめいたします。

 サントラには、OASIS, Rage Against The Machine, The Offspring, The Clash, The Black Crowes, Travis, Manic Street Preachers, Lauryn Hill, Bob Dylan, Fiona Apple, Jimi Hendrix, Janis Joplin, Jeff Buckley ... などの楽曲が収録され、洋楽ロックファンのかたにはたまらない内容となっていることでしょう!





■Underworld / Barking(アンダーワールド / バーキング)

  1. Bird 1
  2. Always Loved A Film
  3. Scribble
  4. Hamburg Hotel
  5. Grace
  6. Between Stars
  7. Diamond Jigsaw
  8. Moon In Water
  9. Louisiana


 9月2日に日本で先行リリースされた Underworld の三年ぶりの新作です。初の試みとして、High Contrast や Mark Knight & D.Ramirez などのコラボレイターとの共同作業をもとに制作されたとか。

 ボーカルを中心とした楽曲が多く、想像していたよりもあっさりめの仕上がりですが。。2曲目、3曲目などは、純粋なポップス、キャッチーな歌ものとして聴きやすいという印象。

 Underworld 特有の、徐々に高揚していく感があまりないものの、爆音で聴くと気持ちがいいことは間違いないです。





■Sting / Symphonicities(スティング / シンフォニシティーズ)

 タイトルはもちろん、The Police の名盤『Synchronicities(シンクロニシティーズ)』のもじりでしょう。

 スティングの新作は、英国の名門オーケストラ“ロイヤル・フィルハーモニック・コンサート・オーケストラ”の演奏をバックに The Police 時代の楽曲、ソロ楽曲を録音し直したという異色作です。

  1. Next To You
  2. Englishman In New York
  3. Every Little Thing She Does Is Magic
  4. I Hung My Head
  5. You Will Be My Ain True Love
  6. Roxanne
  7. When We Dance
  8. The End Of The Game
  9. I Burn For You
  10. We Work The Black Seam
  11. She's Too Good For Me
  12. The Pirate's Bride
  13. Straight To My Heart
  14. Why Should I Cry For You
  15. Whenever I Say Your Name


 1曲目「Next To You」は、流麗なストリングスにゴスペル調の分厚いコーラスが絡み、その合間をかいくぐるように、Sting の力強い歌唱が疾走していきます。

 優雅さの中に荒々しさが、荒々しさの中に優雅さがあり、それがはっとするほど美しいのです。

 「ひさびさの当たりか?!」と盛り上がったのですが。。

 それ以降は、(個人的に)失速気味の楽曲が続きます。2曲目「Englishman In New York」などは、これからの落ち葉の季節に似合いそうな哀愁漂う雰囲気が素敵です、が。。

 いい曲なんですけどね。いい曲がフツウにいい曲で終わっているような感が否めません。

 でも、もう少し聴き込んでみることにします。Sting さんの意図したところと、いま自分の期待していたものが違うだけのことかもしれませんからね。まあ、そんなことを言ったら、みんなそうなっちゃうんですけどね。

 以前までは、「違う!」と思ったら、バッサリ切り捨てる性質(たち)でしたが、あえてバッサリいかないでみる、ということを覚えました。オトナになった、ということなのでしょうか?

 ではでは。



 [追伸]:

 優雅さの中の荒々しさ、荒々しさの中の優雅さ。。と言えば。。

 最近、女性を中心とした民族打楽器ユニットを結成いたしました。

 butterfly effect(バタフライ・エフェクト)といいます。西アフリカの打楽器、ジェンベ(ジャンベ、ジンベ、djembe)を奏でるレディース軍団ですw

 近々、ワイルド&エレガントなライヴをお送りする予定です。ユニット紹介とライヴのご案内はいずれ。。

2010年9月10日金曜日

YASSA HOYA

 先日9月1日、某所でとあるミュージシャンのライヴを観ました。

 9月1日は、防災の日です。そんな理由からか、「満月の夕」(まんげつのゆうべ)が演奏されました。

 「満月の夕」は、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬とヒートウェイヴの山口洋の共作による、阪神・淡路大震災を題材とした曲です。中川、山口両氏のそれぞれのグループで、歌詞も曲調もアレンジも異なるバージョンを発表しています。



 作品の成り立ち、二つのバージョンについて等々、詳しく知りたい方は、Wikpedia - 「満月の夕」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%A4%95



 わたくしは、だんぜん、ソウル・フラワー・ユニオン バージョンが好き、でした。

 三線、チンドン太鼓、お囃子というにぎやかな沖縄民謡的スタイルの中で唄われる美しい旋律。力強くもやさしく、かなしみの中にも笑いがあふれるような演奏で、聴くといつも気持ちが落ち着くような気がします。

 対してヒートウェイヴ バージョンは、もっと厳粛とした、重厚なロックバラードといった趣です。

 で。先日のライヴではどうだったのか、といいますと、ヒートウェイヴ バージョンに近いアレンジで唄われていたように思えました。そんなこともあって、ヒートウェイヴ バージョンを改めて聞き返してみまして。これはこれでいいなあ、なんて、改めて思いました。

 被災地でボランティア活動を行っていたソウル・フラワー・ユニオンの中川敬に誘われて東京から駆けつけた山口洋。被災地を一緒に巡る中、ギターと三線で一気に書き上げたメロディが「満月の夕」だといいます。

 その後、『自身の住む東京から見た被災地への思いを「書き足した」』とのことで、ヒートウェイヴ バージョンは、CD音源でも7分超の大作となっています。

 歌詞の違いが示すもの、7分超が示すもの……を改めて考えました。



中川敬──『この2人の距離感の違い(歌詞)は重要で、「旅」という安易な逃げが通用しない。"オマエはオマエの現場でやらなしゃあないんや"ということを否応なく示している』(HEATWAVE『1995』 宣材より)

山口洋──『俺は彼等のヴァージョンを歌うことは出来ない。だから東京でマスメディアが垂れ流す情報を観ていただけの立場から歌を仕上げた。この2つのヴァージョンの違いが示しているものは大きい。良し悪しの問題ではない。』(HEATWAVE『1995』 Self Discography より)



 詞を書き足さすにはいられなかったのでしょうか。厳かに、静かに、重々しい気持ちで向かい合わなくては唄えない、そんな唄なのでしょうか。

 自分の立場で、自分の現場でできること、やるべきことをやる。――という厳しさ、そして、決意について考えた夜でした。